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2005年 01月 22日
昨日、地域MC協議会が開催されました。そこで考えたことなどを徒然に記します。
協議会の1週間前くらいに県の消防防災課・医療整備課・危機管理課の職員と災害拠点病院の医師・事務方との会議がありました。行政マンのスタンツは、「一般論として、災害対応は推進しなくてはならない」が「予算がない」ので、現実問題として具体的に推進できないということですが、僕は部署は違っても不思議と画一的な彼らのこの説明パターンにはあるトリックが存在すると感じています。 ここでは長く書きませんが、「予算がない」には、「新たな予算を獲得するのは面倒だ」「役所内あるいは議会の説得が難しい」「その仕事はしたくない」「その仕事を遂行する能力は自分にない」・・・などの理由が隠されていると思いますが、いずれにしても「新たなプロジェクト」を立ち上げる際には欠かせない汗かき活動を回避する傾向があると考えています。簡単に言えば、「予算がない」と発言する人は、実はその仕事が高い優先順位になってもらっては困ると考えているのではないか、ということです。 そのまた背景には、役所内あるいは議会、ひいては市民も、実際には関心がない、または掘り起こされていない状態があり、そのまた背景には、情報伝達不足(議員、市民に対する)がありそうです。 役所の仕事ですから、その長がトップダウンで行えば簡単なはずです。こう考えると、トップの考え方、役所内におけるトップへの情報伝達法なども問題になりますね。 で、地域MC協議会ですが、今回も感じたのは消防側委員のMCの理解不足です。医師側と同じ理解に立つことがMCを円滑にする前提条件ですが、消防側委員には「地域住民の生命予後を向上する病院前救護サービスの継続的質改善活動」がMCの本質であるということを理解し、その理解のうえで事業の展開を図るという創造的な作業が苦手のようです。「MCで病院前救護サービスの質を向上する」ということがMCの一番高いところになる一般目標で、そこから具体的な行動目標の戦略を立てなければならないのですが、行政マンは方略の一部の「予算」を軸に考える習慣が身についていますから、一般目標や行動目標の歪曲化が生じます。ま、都合の良い解釈をしてしまい、自分を正当化してしまう・・・こういった論点のすり替えはきわめて巧みで、というよりは曖昧な発言で煙に巻いているというレベルなのですが、そういったことができる人が上にいることもMCの大きな障壁となっています。 顧客満足度(カスタマーサティスファクション、CS)ってご存知ですか?MCで言えば、地域住民の病院前救護サービスに対する満足度ということになります。MCをTQMとして「地域住民の生命予後を向上する病院前救護サービスの継続的質改善活動」と定義するなら、病院前救護体制を地域住民の視点で検証し改善する必要があります。僕はその視点で仕事をしていますが、消防側委員の言動はまだ改善されていません。日常的なMCの進め方は従来の消防業務を継承した部分的最適化にとどまっており、委員会でも全体最適化への建設的な意見はでません。 このような状況、市民は情報提供されているのでしょうか?こういう状況について、お客様の声は聴かなくていいのでしょうか?これが行わなければ、MCはTQMとはならないでしょう。従来の救護体制をMCの用語で置き換えたものにとどまってしまうでしょう。 そこでCSですが・・・CSを達成するには、新たな知識や思考法による組織のあり方や、仕事の進め方に大胆なイノベーションを導入する必要があります。これは僕の意見ではなく、企画・マーケティングの基本的な考え方ですので。 結局、MCをTQMととらえ実践するには、実は消防組織と職員(救急救命士も含めて)の考え方・行動様式の改善を同時に行う必要があります。その方向性は現在の産業界の「勝ち組」が示してくれています。書店のビジネスコーナーに行けば、山のように図書が積まれています。 言葉は足りませんが、要点は記しました。 医師は本質的にTQM的な職業ですから、意識しないでもTQMの本質は掴めてしまいます。それが一番薄いのは行政マンでしょう。そして消防職員もその行政マン。だからMCでは消防側がTQMを理解しそれを行動に移せることが欠かせないと考えています。
by well-be
| 2005-01-22 10:48
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